紀陽情報システム株式会社

コラム

「トマトとメロン」と「私」

「ことば」って、とっても不思議なものです。

唐突に何を言い出すのかと思われる方もいらっしゃるでしょう。同じことばでも、受ける側(見たり、聞いたりする側)の状況によって、本当にいろいろな「感じ方」や「気づき」があることに驚いています。

当然のことですが、「ことば」は、目や耳や手などを通じて、人が人に何かを正確に伝えるためのものです。私の場合、読解力が乏しいこともあり、そのことばに込められた想いや意味が、うまく理解できないことが多々あります。そんな私でも、これまで日常的に見ていた「ことば」に対して、ある時、ふと、「そうか!そうだ!」と気づくことがあります。そのことばに秘められた意味が、私の気づきと異なっていようが、同じであろうが、その時点では、たいした意味を持たず、とにかく、これまで感じたり、気づかなかったことに対して、新たな発見をしたことが非常に嬉しいのです。さらに、その気づきによって、目からウロコが落ちたように、平常心の自分を取り戻すことができることが多いのです。

いったい何のことを言っているのか、もっと分かりやすく話せと、お叱りを受けそうですので、もう少し具体的に紹介させていただきます。

著名な書家、相田みつを氏の作品を掲載した日めくりカレンダー(1日〜31日の毎月繰り返し用)が販売されています。私は、このカレンダーを長年愛用しています。愛用といっても、朝起きて、1枚めくって、標語のような言葉をただ漫然と見ているだけのことも多いのですが。
そんなある日、


 トマトがトマトであるかぎりそれはほんもの
 トマトをメロンに見せようとするから
 にせものとなる

  (相田みつを 「日めくり にんげんだもの」より引用)



という「ことば」が、私のからだに すぅ〜と入り込んできて、無駄なチカラが抜けていくのを感じたことがありました。その時期、公私ともにいろいろなことで、失敗したり、悩んでいたり、落ち込んでいたりしていた私は、「そうだ!自分を自分以上のものに見てもらいたいと思ったり、背伸びをしようとしたら、”にせもの”になってしまう。等身大の自分=”ほんもの”の自分で十分やん。トマトはトマトで素晴らしいやんか!そうか、このことばは、そんな意味やったんや!」 と気づいたのでした。

日めくりカレンダーにあったこの「ことば」は、何年もの間、何げなく見てきていました。言葉上の乾いた意味だけで、「ふ〜ん、なるほどなぁ」程度の感じ方で。でも、見る側(私)の置かれた立場や状況が異なると、これまでとはまったく別のものとして、「こころ」に飛び込んで来たのでした。 さらに、この同じことばに対して、以前とは異なった気づきや発見をすることもあるのです。 「ことば」っていうやつは、いったいどれだけのひろがりと深みがあるのか、不思議でなりません。

これが、冒頭の「ことば」って、とっても不思議なものですと申し上げたことなのです。なんだ、そんなことかと思った方もおられるかもしれませんが、この日めくりには、例に挙げたもの以外にも、人間の弱さ、ずるさ、さらには、生き方までも、核心をついた見事な「ことば」で表現したものがたくさんあり、私のようなごく普通の人間にとっては、不思議な「つえ」になってくれています。
これからも、この「つえ」といっしょに、公私ともに一所懸命、頑張っていきます。

最後に、日めくりさん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

2007/07/12 Posted by K.M.