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コラム

『書』に親しむ・・・

最近、子どもが字を覚え始めたので、以前何かの記事で知った子ども用の書本を購入してみた。
お手本は、「しょぼん ひらがな」と「書本 漢字」。(武田 双雲著、 出版 池田書店 )


「しょぼん ひらがな」は、見開きの右側には惚れぼれするような楷書のひらがなの文字、左側にはその文字を使った言葉がさまざまな書体で表現され、その字をイメージした自由詩が添えられている。

 「あ」・・・あいまい『くろじゃない、しろじゃない、まんなかじゃない ゆらゆらゆら』
 「つ」・・・つたわる『きみのなかに ぼくのこころが はいっていく ひろがっていく』


「書本 漢字」は、小学校1年生で習う程度の文字、60文字が紹介されている。同じく、右側には楷書の文字、左側にはその字を著者の感性で表現した文字と自由詩が添えられている。

 「人」・・・『ひとりはさみしい ふたりはうれしい さんにんはたのしい』
 「心」・・・『まるいの かくばってるの つめたいの あたたかいの あかるいの くらいの どこにいるの どこにあるの』


決して書道のお手本的な本ではなく、字の持つ意味やその魅力が詰まったまるで絵本のような本である。だから我が家の子どもたちも全く抵抗なく、ページをぱらぱらめくりながらおもしろそうに字を眺めている。

よく「字は体を表す」と言われるが、文字は自分の個性を表現する大事なコミュニケーションの手段の一つであると思う。容姿端麗の女性のかわいいまる文字がなんだか親しみやすさを感じさせたり、普段は冗談ばかりいっている人がとても達筆だったりするとそれだけでなんとなく見直した感じがしたり・・・

手書きの文字がコミュニケーションの幅を広げてくれるケースはいろいろある。にもかかわらず、私たちの日常からは「字を書く」という行為がどんどん少なくなっている。かくいう私もその中の一人で、会社での書類は仕事柄、すべてパソコンで作成し、友人への手紙は携帯のメールで簡単に済ませてしまっている。昔は手書きしていた年賀状もここ数年は進化した年賀状ソフトに頼りっきりである。確かに人工的に作られた文字は綺麗で見やすいものではあるけれど、反面、個性がなく、なんとも味気ないものである。

字が下手だから・・・と書くのを嫌がる人がいるけれど、ビジネス文書はともかくとして、家族や親しい友人などに宛てたものは、上手下手ではなくて、如何にその人らしさが感じられるかが大切なのではないだろうか?

昔、私の母が修学旅行や大学受験のお弁当の包みの中に、メモ帳のようなものに走り書きでちょっとした言葉を添えてくれていたことを懐かしく思い出した。決して上手くはないけれど温かみのある母の文字に、思わず心が温かくなったものである。

著者はいう、『人にもさまざまなタイプがあるように、もっと字も多様であっていいのではないか』と。
「ひらがな」よりもなぜか「漢字」のほうに興味をもち、書き順なんてお構いなく絵のように器用に漢字を書いている子どもの横で、つい「あっ、そうじゃなくて・・・」と口を出したくなる気持ちをぐっとおさえながら、久しぶりに懐かしい友人に手紙でも書いてみようかな、などと思う今日この頃である。

2008/11/21 Posted by M.N.