紀陽情報システム株式会社

コラム

I got the Blues.

神の言葉
「ブルースを忘れない方がいい・・。」
私が最も敬愛するバンドマン、忌野清志郎の言葉だ。どんなジャンルの音楽も「方程式を解くように」ブルースで説明できるそうだ。
神様がそう言ってるのだから・・こうして私のブルースを捜す日々が始まった。もうヒマに時間を過ごすことなど無くなった。忙しくて仕方ない。退屈だった日曜の朝や、夕食を待つ1時間が退屈でなくなったのだから大変なことだ。元々ブルースのリズムには妙に惹かれるものを感じていた。1フレーズ聴いただけで引き込まれてしまう不思議な魅力だ。特にブルースギターの、あの『ダッ、ダ、ダ〜ダ♪』の力強く重たいベースラインと、その合間のブルースの叫び声のようなフレーズに。
B.B.キング、フレディ・キング、マディ・ウォーターズ、T-ボーン・ウォーカー ・・(※1)
スーツ姿に大きな襟のシャツと派手な指輪、口髭を蓄えた怪しげなおじさんがギターを操る姿はさらに私を惹きつける。

ブルースの典型的な12小節のコード進行ブルース研究所
ブルースの典型は12小節、T7、W7、X7 の3コードで構成される。Tはトニック・コードと呼ばれる『ド・ミ・ソ』の和音。ミを含みファを含まない、安定した和音だ。T7の7は短7thの音(シ♭)を加えるという意味で、ブルースのコードにはこの7thの音が加わって不安感が演出されるのが基本。

W7はサブドミナントと呼ばれ、ドから数えて4番目のファを基準とした『ファ・ラ・ド』の和音の7thコード。ファを含みシを含まない、退屈な気持ちをゆり動かすような印象を受ける。

V7はドミナントと呼ばれ、ドから5番目のソを基準とした『ソ・シ・レ』の和音の7thコード。 ファとシを含む不安定なコードで、次はトニックに戻りたい気持ちになるが、ブルースはそれをサブドミナントに戻すところが『キレイな』ではなく『不安定な』感じを演出する。 Key=Cのとき、T7がC7、W7がF7、X7がG7、key=Eなら、E7、A7、B7のコードとなる。 うーん、このセブンスコードはギター初心者の頃、意味も分からず覚えたコードだ。

このコード進行に彩りを添えるのがRoot、♭3rd、4th、5th、♭7thの5音で構成されるマイナーペンタトニック・スケールと呼ばれる音階。ブルースの『叫びのようなフレーズ』は、主にこのスケール上を流れる。Rootはそのコードのルート音なので、Cコードならド、ミ♭、ファ、ソ、シ♭となるが、Cメジャーの明るさの象徴、3thのミの音が、マイナーコードを決定づけるミ♭に置き換わっている。コード進行はメジャーなのに、その上をマイナーなスケールで弾く。これがブルース!

さらに♭5thを加えて揃う♭3rd、♭5th、♭7thの3音はブルーノートと呼ばれる。ブルーノートは本来きっちりと譜面で表すことができない、半音の半分あたりにある微妙な音で、ギターのチョーキング(※2)やボトルネック奏法(※3)で表現される。「ブ、ブルーノート!」、あのJAZZのブルーノートか!なんだかよく分からないが、カッコイイ!

和音の投稿(2007/11/19掲載)にもあるように、和音を構成するたった1つの音が半音下がるだけで、マイナーコードは暗〜く響く。ブルースはこの微妙な音階がブルージィな感じを創りだす。なぜ暗〜く聞こえるのかも不思議だが、なぜブルーに聞こえるのか、もっと不思議である。『ブルース研究所』の研究課題は尽きない・・。
研究に疲れたので、ちょっとギターで遊んでみる。決して上手くはないけれど、聴くことと演奏の両方楽しみが持てるのは素晴らしいことだ。知らない曲でもブルースはそれなりに合わせることができるし、運よくその『叫び声』をつかまえることができたら気分はもうブルースマン。楽譜なんかなくていい。

ブルースの溢れる毎日
ひとしきりブルースを味わったら、今日のところは寝るとしよう。眠りに落ちかけたその瞬間、携帯が鳴った。どうやら昼間のトラブルが尾を引いて、夜間バッチの障害が発生したようだ。終電の発車時刻に間に合うかどうか微妙な時間に出てきて欲しいという。
ブルースギターの画像「清志郎が愛したブルースを忘れるわけにはいかないからな。」
真夜中にスーツに着替え、結局タクシーで職場に向かう私に再びあの重たい『ダッ、ダ、ダ〜ダ♪』のリズムが鳴り始めた・・。


(清志郎のブルースは生きることそのものだと思う。)
2009/10/26 Posted by J.N.

※1 4人共に米国のブルース・ギタリスト、シンガー
※2 チョーキング:弦を弾いた後に押弦している指で弦を引っ張り、無段階に音の高さを変える奏法。
※3 ボトルネック奏法:スライドバーと呼ぶ棒を指に装着または持ち、弦がフレットや指板から浮いた状態のままバーを任意の位置で弦に接触させ、ピッキングして発音する奏法。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)