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コラム

熊野・初詣より餅

吉野杉「また、新しい温泉施設?」そう勘違いしそうな建物は、熊野本宮大社前にある「世界遺産センター」だった。紀州材がふんだんに使われており、入り口を入ると木の香りいっぱいで迎えてくれた。山伏の装束や熊野三山の地形の模型など、いろいろな展示物が興味深い。熊野は心のよりどころとして、古くから信仰を集めてきたところ。老若男女、身分の差を問わず、寛容な心で受け入れてきた。「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」(※)は、巡礼の道が文化的景観の評価を受け、ユネスコの世界遺産として登録された。2009年は登録5周年を記念して「1万人の参詣道環境保全活動」が行われた。大勢の人が道を往来し踏みつぶすこともあり、あちこち痛むので道普請(みちぶしん)といわれる景観保全や修復のため、一般の人や企業参加の人々が土を入れたり花を植えたりしたという。熊野古道は、大辺路、中辺路、小辺路、伊勢路とあり、全ては目的の地「熊野本宮大社」に続いている。

和菓子 古(いにしえ)の人々は険しい山道を何日もかけて歩き、熊野本宮大社までたどり着いた。今は高速道路などを使うと、あっという間に迷うことなく着く。長い急な石段を上がった先に社殿がある。現在の社殿は明治に移築されたもので、水害にあうまでは近くに立つ大鳥居のあたりにあったらしい。なので当時と見ている風景は違うのだが、社殿を前にするとゆったりした気分になる。境内では、サッカーの日本代表のマークに使われていることでご存知の方も多いであろう、熊野の神の使いという伝説の鳥・八咫烏(やたがらす)のデザインを至るところで目にする。のぼりやお守りはもちろんのこと、八咫烏が上に乗った黒い丸ポストまであった。中でも目を引いたのは、大きな和紙に墨で描かれた絵である。一瞬、「笑」という文字に見えた。「笑」は人の心をにこやかにし、前向きなエネルギーを与えてくれる。参拝の帰り道、ある有名俳優夫婦が買いにくるという売り文句で、あん入り餅を売っていた。思わず顔をゆるませ買い求めた。

2010/03/12 Posted by N.K.

※  紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち):和歌山県・奈良県・三重県にまたがる3つの霊場と参詣道(熊野参詣道、大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)、高野山町石道(こうやさんちょういしみち)を登録対象とする世界遺産(文化遺産)。2004年7月7日に登録されました。
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