紀陽情報システム株式会社

コラム

『深呼吸20万回』〜大空の散歩〜

写真:紀の川を眼下にテイクオフ!!子供の頃から飛行機が好きで、いつか自分で操縦する飛行機で空を飛びたいと思っていました。その夢を叶えてくれたのが、パラグライダー(以下パラ)です。4年前の3月、スキーシーズンも終わり、健康のために始めた自転車で粉河寺まで行った帰りのことです。紀の川沿いを走っていると、真っ青な空を背景にパラが飛んでいるのが目に入ってきました。そして川の土手沿いにあるパラスクールの事務所で話を聞いたのが、パラを始めたきっかけです。
(写真:紀の川を眼下にテイクオフ!!)

写真:和泉山脈の向こうに見える関空、六甲、淡路島 パラで飛ぶには、スクールに入って飛び方を教わることになります。スクールに入ると、まず離陸の練習です。離陸といっても数秒足が地面から2,3m離れるだけで、飛ぶというよりは浮くという程度ですが、それでもすごく新鮮で今までに味わった事のない不思議な感覚でした。通い始めてから6回目ぐらいのある日、朝スクールに着くと先生が突然「今日は上から飛びましょうか」と声をかけてくれました。ついに「初飛び」です。山の中腹にある飛び出し地点と、河原の着陸地点との標高差は約300mです。ここからの景色を初めて見た時は、和歌山市の近くにこんなすばらしい景色があるのかと、それだけで感激しました。眼下に広がる紀の川を見ながら、道具や無線のチェックを慎重に行ないます、飛び出したら無線だけが頼りです。先生が風の方向や強弱を見てタイミングを待っています。期待と不安で気持ちが高ぶってきます。いよいよです。
(写真:和泉山脈の向こうに見える関空、六甲、淡路島)


「力ぬいてー、深呼吸20万回」 『20万回??』
先生がにこっと笑いながら「はいっ、行きましょう」


写真:高度1300mから上流(東)側、障害物は靴だけ 河原で練習したように走りだしたものの、後ろに引っ張られるような感じで思うように走れません。先生が横からサポートしてくれますが、直接のサポートはそこまでです。45度ぐらいの急斜面に入り、さらに2、3歩走ると次の瞬間、グッグッと腰から引き上げられるような感覚とともに、足が地面から離れました。『うわぁー!本当に飛んでる!!』足元の木々の梢がどんどん遠くなって行きます。文字通り見る世界が変わるとは、まさにこのことです。今まで見たことのない風景です。スピードは時速20kmぐらいで、周囲には何もないのでスピード感はほとんどありません。絶叫マシンのような過激な動きではなく、ゆったりとした動きです。『本当に飛んでる』という感激に浸っているのもつかの間、約3分ぐらいで着陸の準備です。何回もイメージトレーニングをしていましたが、いざ地面が近づいてくると、さすがに不安がよぎります。でも先生の無線誘導のままに操作すると、足が地面に着く時もほとんど衝撃もなく無事着陸できました。
(写真:高度1300mから上流(東)側、障害物は靴だけ)

普通のスポーツは始めの頃は、練習していてもなかなか上達せず、少しずつ徐々に上達して、やっと面白さが分かってくるものが多いと思いますが、パラは実質1週間程度で、ある日突然全く別の世界が広がります。しかし実は、パラの醍醐味である高く飛ぶため(もちろん安全に)の本当の練習は、「初飛び」が終わってから始まります。皆さんもトンビが翼を大きく広げたまま、輪を描いて回りながら飛んでいるのを見たことがあると思います。トンビが回りながら飛んでいる所には上昇気流があり、羽ばたかなくてもトンビはどんどん高く上がって行きます。パラも全く同じで、高く上がるためにいかに上昇気流を見つけ、それに乗っていくかを練習でつかんでいきます。

写真:飛び出し地点から見る夕日 飛び出し地点のすぐ後ろの山にある、ゴルフ場のクラブハウスの赤い屋根が見えてくるのが高度約500m。すぐそばをトンビも一緒に回りながら飛んでいます。春には桃が桃源郷をピンクのじゅうたんに染め、満開の桜の木が上空からは丸い形に見えることもパラならではの風景です。道路を走る車もまるでミニカーのようです。さらに700mまで上がるとゴルフコースの全景が姿を見せ、和泉山脈の向こう側に関空や六甲の山並みが見え、西には淡路島や四国も見えてきます。そこまで上昇すると、飛び出し地点からさらに400m上空を飛んでいるわけですから、はるか下の足元から色とりどりのパラが次々に飛び出していくのが見えるのも不思議な光景です。今までの最高高度は1600m。東には雪化粧した高野山、さらにその先に大峰山系が見え、南には紀伊山脈の尾根が幾重にも幾重にも続いています。上を見ると手の届きそうなすぐ近くを雲が流れて行きます。足の下には航空写真を見るような360度の大パノラマが広がり、障害物と言えば自分の靴だけです。夏でも心地よい涼しい風が直接顔にあたり、聞こえるのは風の音だけで本当に風になったような感覚です。技術が上達して気象条件がよければ紀の川でも高度3000m、数時間も飛べることもあります。パラという翼は自然の風の力だけで、大空を自由に飛ぶことを可能にしてくれました。
(写真:飛び出し地点から見る夕日)

全く初めてでも、ちょっとイケメンの先生と一緒に2人で飛ぶこともできます。あなたも是非、大空の散歩を楽しんでみませんか?きっと今までに経験したことのない世界が広がると思います。ちなみに、通っているパラスクールの生徒の最年長は72歳の男性です。

2010/04/12 Posted by R.H.

掲載する写真はパラスクールの友人から寄せていただきました。