紀陽情報システム株式会社

コラム

携帯電話の味

写真:女の子 私には一歳になる娘がいる。毎日すこぶる楽しそうに過ごしている。先日、何故そんなに楽しく過ごせるのか、黙って彼女を観察してみた。彼女は、普段あまり聞かない電子音がすると、振り返り「きゃっ!きゃっ!」と喜び叫ぶ。自分が見たことのない物を、私が袋から出そうものなら、すさまじい速さで飛びつく。しばらくそれを観察し、少し触った後に噛む、なめる、そして納得すると立ち去る。この確認作業をほぼ無条件に行い、彼女なりに何らかの答えを確実に得ているようだ。

しかし、その確認作業にも例外がある。私の携帯電話だ。一体どこを気に入ったのかは分からないが、私の携帯電話を見つけると、すかさず手に取り、噛む、なめる、画面タッチ、を繰り返し、嬉しそうにしている。私が携帯電話を使用する必要があるまでは、彼女の自由にさせている為、手元に戻る頃には洗面所にでも落としたかのようにずぶ濡れだ。それでも全く叱る気になれないところは、親バカの道を進んでいるのであろう。彼女は、新しいものや楽しそうなものを見つけると無条件に触り、噛み、なめる。とりあえず恐れず、体感してみる。一方、私は新しいものを見つけたとしても、それを調査する道具や手段を多少なりとも知っている為、行動する前に何らかの知識を頭に入れ、その情報の確認作業を行ってしまう。自ら「新たな発見」というものを失くしてしまっている。なるほど、楽しさが全く違うはずである。

写真:親子 日常生活を送る中で、毎日同じことの繰り返しでは、つまらない、刺激がない。果たして本当にそうだろうか。情報が先行する現在では、自ら刺激を失くしてしまっているだけなのではないか。いつもどおりの生活から「楽しさ」を見つけることができる才能。それは、何事も長く続ける為に、最も重要なことなのではないかと、彼女を見ていて考えさせられた。何も考えずに、とりあえずやってみる。これはその才能がなくとも、誰にでもできることであり、思わぬところで才能が開花するかもしれない。

ここだけの話、実はこの日、私は携帯電話の味を確認してみた。さすがにこの情報は、事前入手できるものではないので「新たな発見」である。情報を先行させない為にも、この感想は、あえて詳細を書かずにおくが、彼女が気に入った気持ちが、少なからず分かったとだけ書いておく。後日、私の膝の上に座らせゆっくりしていると、私の指をおもむろに噛んできた。私のことを食べ物だとは認識していないであろうが、少なくとも携帯電話よりは美味しいと感じていて欲しいものだ。

2013/11/20 Posted by T.T.